文化祭考
 
 文化祭はとても大切な行事だと思います。
 生徒にとってみれば、学校生活の中で最も非日常的な時間が、文化祭ではないでしょうか。
 卒業して長い時間がたっても、きっと頑張った文化祭の思い出は、クラス会の話題の中心になるでしょう。
 もちろん、体育祭も修学旅行も同様です。
 これら行事の価値は、むしろ卒業してからわかるのかもしれません。

 しかし、私は文化祭の価値を思い出作りだけだとは思っていません。
 まとまらない話し合い、準備の過程で起こるトラブル、苦悩するリーダーと支える友人、手伝いたいのになかなか輪に入れない不器用な生徒。
 それを乗り越えて、企画が完成したときの喜び。
 そんなすべてが、授業でも部活でもアルバイトでも得られない、素晴らしい成長の場だと考えています。
 目に見えるかどうかは別として、文化祭に取り組んだ生徒は、その後の人生において役立つ何かを必ず手に入れていると信じています(テキトーな生徒はわかりませんがw)。

 さらに、学校という視点から言うと、文化祭は伝統を育む場であると思います。
 SNSやメールなどで四六時中つながっている割には、生徒間の人間関係は希薄だと言われています。
 これが異なる学年間になるとさらに顕著で、部活に入っていない生徒にとっては、先輩たちは遠い存在になりがちです。
 文化祭では、学年を超えて直接ふれあう機会があり、先輩が作った作品を見ることが出来ます。そこで生まれる「憧れ」は、その学校の伝統を作る原動力になり得ます(もちろんこれは、体育祭でも同じことが言えます)。
 3年生が完成度の高いインパクトのある発表を行う、それを後輩たちが追いかける、これが理想と言えるでしょう。

 さらに学校の営業的な側面で言うと、文化祭は、またとないPRの場です。
 学校を評価するときに最も一般的なのは、偏差値であり、進学実績(就職実績)であり、部活の成績でしょう。
 文化祭で見ることが出来る生徒の姿は、必ずしもこれらの評価と一致しません。
 生き生きと活動する生徒の姿は、ひょっとすると来場者に意外性をもって受け止められるかもしれません。
 たとえば、受験を控えた中学生とその保護者に、「見に来てみて良かったね」と言ってもらえるかもしれないのが文化祭です(下手をすると逆もあるので要注意です)。

 ですから、学校の広告戦略の一環として、文化祭をとらえるという考え方が必要なのではないかと思うのです。
 生徒が主役ですし、生徒が主体的に取り組まねば意味がないのは重々承知していますが、学校として本腰を入れるに値するイベントだと考えています。
 私学さんでは、広告代理店と組んで、文化祭を大規模なイベントとして仕掛けてくる動きが出てもおかしくないと思います(もうやってるかな)。
 進学実績はすぐには上げられません。 部活を全国レベルに上げるのも至難の業です。
 文化祭なら、何とかなる気がしませんか?

 具体的に言えば、職員組織の中に「文化祭対策委員会」を分掌横断的に設置し、生徒会(実行委員会)をバックアップし、新しい企画を考え、効果的にPRできる体制を作ればよいのではないかと思っております。
  備品の貸し出し基準を職員側で基準を作り、できるだけ使いやすく配慮する。
  部活加入者の文化祭準備参加について、職員間で話し合う。
  運動部の公開試合など、可能な企画を職員側でも提案する。
  地域との連携を模索し、生徒と地域の協働をはかる。
 
 PRに関しては、中学生に向けた進学相談コーナーを設置して、進路実績を掲示し、学校行事のビデオを流し、全部活のユニフォーム展示、実績発表もする。
 使っている教科書が見られて制服の試着もできれば、受験生にとってグッと身近な学校になると思うんですけど。
 それは違うだろう、と思われるかもしれませんが、少子化の中で学校規模を維持し、学校間競争を勝ち抜くには、これまでにない発想で売り出していくことも必要です。 

 というわけで、先生の学校の文化祭が大成功に終わることを心より願っております。
 健康に気をつけてがんばってください。
 

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